中小企業の資金繰り実務は担当者の我流で運営されています。管理が十分に機能しているか否かは担当者個人の能力・経験に依拠しているのが実状です。
資金繰り管理1つで経営破たんに至ることを私達は事業再生の現場で多く見ましたが、破たんした会社の「今すぐやめて!その実務」Best3をお話しします。
「請求書が到着し、金額が確定した範囲内」でしか資金繰り表を作成しない実務は即刻止めて下さい!
「予測版を前月以前に作製⇒確定版が10日頃」というなら問題無し。そうではなく、「予測は普段作らない。請求書が全部到着して、資金繰り表が初めて出ます」という実務が「破たんした会社がやっていた実務」第1位。
月末まで何日もない所で「25日の給料が」「手形が落とせない」とわかった所で、打てる手は後向きなことしか無いのでは?
「きっと役員がなんとかするから」いいのでしょうか?もっと前から予測を出してあげていたら、違う手が打てたはず。
そしてこういう実務は更に「経営者の姿勢」「会社の危機対応能力」に大きなダメージをもたらします。具体的には
影響@ 社長の経営の焦点が「金、借入」になってしまう。
「将来予測がない」⇒「社長は資金繰りが不安でしょうがない」⇒「目先の不安を資金注入で解消することで安心しようとする」⇒「経営改善に目が行かなくなる」。
社長が本業に目を向けなくなった瞬間、中小企業は破たんを迎えます。
影響A 予想外支出が生じても対応できない。財務が非常に不安定になる。
こういう事態が生じるたびにその予測できない責任は担当者が一身に負う。今の社長はそうは言わない優しい社長かもしれませんが、会社を変えれば厳しい叱責が飛ぶ現場はいくらでもあります。
理不尽だと思いますか?
でも、実際に予測業務をやっていないのだから言い返すことができない。
過去実績と未来予測が並ぶ。それが資金繰り表です。
過去も未来も載せない「今月だけ資金繰り表」はただの「集計表」。ここから未来の方針を建てることなんてできるわけがない。
この話を現場ですると6割の方は「その通りです。では、どうすればいいでしょうか?」と前向きになるのですが、残り4割の方は「そうは言っても」「今後もこんな事情でできません」の言い訳を続けます。この経理マンが会社を潰すな、とその瞬間思います。
わかって欲しいのです。頑なに「1ケ月分の資金繰り表しか作らない」に固執することが、どれだけ会社のマイナスになっているのかを。
金融機関が下記のような表を「サンプル」として提供するからだと思います。
ネット検索で資金繰り表を手に入れようとすると、こんな感じのフォームしか出てきます。
こういう「サンプル」は金融機関があなた方を分析するには都合がいいようには作られているけど
【資金繰り表の作成担当者からみて、作りにくい。更新がとっても面倒くさい】
・担当者にとっては正直面倒くさい。更新がとても面倒!
・他の人がチェックできない。数字の根拠は担当者しか知らないから。
・「前回と何がどう変わった?」の分析は、担当者が数字に強くないと難しい。
【経営者から見て使い勝手が悪い】
・資金残が▲になった表が提出されても、何でそうなったかがわかりにくい。
・「あの現場の採算が悪化しそう。資金繰りどうなる」などのシュミレーションがやりにくい
・見てもよくわからない。
作成者の捉え違い・ミスがあっても渡された経営者は気づくことができない。
と、実務には全く向きません。
特にここは共感頂けるのではと思うのですが、資金繰り表を更新するのって結構面倒じゃないですか?! 更新作業を3倍面倒にしているのがこのタイプの表、サンプル品です。
いいところが1つも無いのがサンプル品で、しかもあなたの会社には絶対に合いません。なぜなら
そもそも資金繰り表を何のために作っているのか、忘れないので欲しいのです。
「社長の意思決定のため。会社の資金繰りのため」です。
だから「社長が的確に判断できるようにポイントが一目でわかるように調製する」ことが決定的な使命です! 具体的には
@要点は一目でわかる!
あっちの資料見てこっちの別紙を見ないとよくわからない、なんてことはしない。
できるだけ1枚ものの資料に納める。
A作成根拠・前提が見る側(社長)が見てすぐわかる。
「作成者の私はわかっている。聞かれれば答える」は絶対にやってはいけない!
B貴社の取引実態・流れ(入出金サイト、支払手段の特徴、在庫などの特性)を反映している。
ことです。この3つを守れば、どんな形式にしたって構いません。
銀行にだって普段の説明の時にはオリジナルの形式を使用していいのです。銀行のために「銀行指定形式で別途作る」手間を強いること、銀行側も全く望んでいません。
実際に私たちがご指導させて頂く全ての会社は、オリジナルの形式で銀行に提出をしています。こういう表は銀行から見ても貴社を理解しやすく、銀行担当者も稟議書も書きやすいのです!
上で実務的でないとお話しした、日本国内で出回る「サンプル品」の形式です。
注目頂きたいのは橙色の売上&売上原価の収支計算。
ここが経営者に「資金繰り表ってよくわからない」と言わせる「魔のソーン」です。次の様なことをいちいちあなたに聞かないと何が何だかわからないからです。例えば
・粗利はいくらの想定なの?4月から材料Xの単価上がったのだけど。
・新規契約はどこまで入っているの?Aランクだけ?Cランクはないの?あるの?
・Y現場でダメ工事(想定外不採算)が発生したけどどう反映されているのかな
つまり「前提」です。
ここは忌憚なく、特に強調させていただきますが「前提」が示されていない数字の表はビジネスとして失格です。
大きい企業では先輩から厳しく指導されることですが、中小企業ではなかなかそんな指導をしてくれる方がいない事情はよく承知しています。でも、このことが中小企業の資金繰り管理を難しいものにしていることは事実なのです。だから、あなたにはこのことを覚えて欲しいのです。
「何がどう反映されているか」と社長が一目ではわからず、あなたにいちいち聞かなくてはいけない表は「仕事」の半分しか行っていません。さらに、致命的なのは
【資金繰り表の正誤、整合性のチェックが難しい】
経営者の多くは財務知識が希薄です。だからあなたに任せているのです。ゆえに経営者が資金繰り表の整合性をチェックしてくれることは期待薄です。そうなると怖いのは「あなたのミスが会社の存続にまで響くミス」になることです。
誰もチェックしない。質問も修正指示も何もない。それは怖いことですよね?
「あなたの仕事にミスはない」が組織の大前提がなっている。イコール「何か問題あったら全責任は君」・・・これは実務担当者としてとてもすごく辛いことですよね?
こんな↓心が折れる思いを、私は初心者のころ、何度したことか・・・
私のそんな景色が変わり始めたのは「前提をはっきりと示す」の工夫をした所からです。その工夫の過程で、自然と現場とのコミュニケーションの回数は増えました。
私が把握した前提に間違いもあったから、それで怒られ続けました。現場も「こんな話は俺は聞いていない」と社長に怒られる回数も増えました。でも会社の未来を「数字と時間軸」で社長と経理が明確に共有できるようになり、それが毎月のルーチンとして会社に根付いたとたんに、社長の「決断」が大きく変わりました。会社の業績が目に見えて回復していきました・・
だから自信を持って言えます。資金繰り表を渡して「はい、ご苦労さん」で終わることは、双方にとって拙いのです!
工夫・・具体的には社長と経理で「前提」が「数字と時間軸で」共有でき、コミュニケーションを深く行う工夫・・が会社の多くのことを安定させ、そしてあなたのビジネス能力を大きく引き上げます!
季節性があり売上の変動が大きい会社や、建設業・イベント業・ソフト制作業など「1件1件の受注が大きな金額に上る」業種は特に「前提をわかりやすく、はっきり表現する」ことにこだわってください。金額が大きいだけに、捉え違いは会社の存続にまで及んでしまいます。
資金繰り管理の専業ではない多くの中小企業の実務者にとって、資金繰り管理は「実は苦行」。間違ったら会社に迷惑をかけるという「恐怖」、そして一番切ないのは「資金繰り管理」は実は高度なノウハウが必要なのに、世の中の社長は「経理なら当たり前にできるよね」という誤解をもっていることです。
そんな誤解を解くべく、少しお時間を頂いて、社長とぜひ一緒に弊サイト下記ページを見て下さい。「資金繰り管理は全社で取り組むこと」という大前提や社長が解いておくべき誤解について解説させて頂いたものです。
経理のあなた一人だけがもがき苦しんでも、資金繰り管理問題は絶対に解決しません。
社長とあなたとがこの実務の事情を共有することから、立て直しは始められます。
話しは続きますが、私たちの原点は、企業が倒産するかどうかの瀬戸際の現場です。
そこでは資金繰り管理の不備を原因とした「前からこうなるって読めたよね!十分な手を打てたじゃないか!」「潰れなくてよかったのに」という事態に多く遭遇してきました。
強くお伝えしたいのは「資金繰り管理が会社の行く末を決める」現実です。「意思決定の重要資料を作成している」という、この仕事の本質をよく理解頂きたいのです。
中小企業の事業再生の現場では、社長も現場も硬直し、前向きな決断に進めない中、経理部門にも同じように「担当者の事情」を声高に主張、頑なに変わろうとしない方が多いのが実に特徴的です。あなたにはこうはなって欲しくないのです。
「資金繰り管理1つで会社の行く末が左右されること」が「10年経ったら8割潰れる」中小企業には現実に多くあるのです。厳しい会社ならばなおさら重要な仕事なのです。
だからあなたには今の仕事のやり方を変えて欲しいのです。工夫を追及して欲しいのです。会社の業績向上に私たちができること・貢献できること、まだまだあるのです!
中小企業の経理・財務マンの評価は本来は総合的に多面的に評価されるべきです。しかしながら資金繰り管理という仕事は非常に社長の心にセンシティブ(敏感)に映る仕事です。
中小企業の社長はいつも資金繰りに不安をもっています。だから資金繰り管理は「自分と同じ目線でやって欲しい」と強くあなたに望んでいます。ゆえに「ただ作業としてやっている。工夫がない」人間には敏感で、他の業務以上に強くマイナスに社長の心に映ります。
だからなのでしょう。資金繰り管理に深く関わっていない経理・財務マンの多くは、中小企業では社長には重宝されていません。昇給も遅い傾向にあります。転職してもやっぱり同じような扱いを受る傾向にあります。
だから目を向けて欲しいのです。ご自身の資金繰り管理のスキルUPに。
私たちがあなたとあなたの会社にお役立ちできることがあります。下記の画像リンクから別サイトでご紹介させてください。
合同会社Properly
代表社員 :佐藤 崇
本社:東京都練馬区下石神井4丁目
E-mail:
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