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生き残りたければやらなくては!

事業再生を目指す上での資金繰り管理上の大きなポイントは3つ。
「何を優先事項にするか明確にする」
「事業の毀損(ダメージ)をできるだけ少なく留める資金の配分」
「どのような出口・回復のシナリオを目指すのか」

にあります。

何を優先事項にするのか

資金繰りが厳しい局面ではこんな重大危機が起こっているはずです。
◎ 買掛債務の支払い遅延
◎ 租税公課の滞納
◎ 金融機関債務のリスケ

P/L(損益)の改善が事業再生の根本・主人公ですが
成果を出すまでには時間がかかる中、そこまでどうやってつなぐのか、どこに支払の優先順位を置くか
が事業再生を目指すなら、必ず明確にしなくてはならない大きなポイントです。

給料遅配は命取り

 従業員の給料遅配はなんとしても回避すべきです。役員報酬の未払いまでで留めておくべきです。
給料遅配を始めた会社でまず起こることは

「苦しい時こそ会社を支える気概をもって欲しい」と経営陣側は考えます。でも従業員側はそうは考えません。優秀な人・他社でも活躍できる人から辞めていくのは、事業再生の現場での必ず起きることです。
コロナ禍の状況でもまだ人手不足で、転職情報も溢れかえるほどあり、優秀な人ほど次の職場が容易に決まる2020年の今なら尚更です。

買掛債務支払いに最優先順位を

 従業員への給料支払の後には買掛債務、租税公課、銀行借入金支払に残り原資をどう配分するかという非常に悩ましい問題が待ち受けます。

 事業を存続させる目的において最優先順位を置くべきは買掛債務の支払いです。
仕入・原材料購入・工事外注が止まった時、それは会社が死ぬ時です。
この生命線を守るよう調整するのが乗り切るための資金繰りの肝であり、最も難易度が高く、最も悩ましい場面です。
 もちろん100ある買掛金を100全て遅延させずに払いたいのはやまやまですが

 与信管理が厳しい商社系などは優先せざるを得ないでしょう。加えてスピーカー(噂をまき散らす)的存在はどの地域でも必ずいますから、こういう存在には最も気をつけなければなりません。

 こうした強弱をつけた支払を検証する時に決定的に重要なのは、どんなストーリーで資金繰りが正常化していくのか、そのシナリオをしっかり構築することです。これは1人で考えずに事業再生に経験のある税理士など第3者を入れて検証するべきです。

 シナリオが無いままに、ただ”待ってくれ”は最もやってはいけません。いたずらに相手方に更なる負担を強いる上に(連鎖倒産はこうして産まれます)、万一の時(=破産)に、経営者はその地域では再出発できなくなるくらいの致命的なダメージを負うからです。

難しい租税債権者との交渉

 世の中、何が一番怖い取り立てかって「租税債権者の取立」です。
 彼らは銀行口座を知っていていつでも差押えができますし、税務署は得意先に売掛債権を差し押さえる準備として調査票を送ることができ(決算書の内訳書から目星をつける)、信用不安を惹起するという恐ろしい技を平気で駆使できる存在です。

 数年かけて溜まった租税を、都度交渉し、結果として数年に及ぶ長期払いになっている会社も稀に見ますが、基本的には「交渉できても6ケ月」の分割払いと考えておいた方がよさそうです。特に担当官が特別国税徴収官であるような場合はとにかく高圧的な場合が多く、担保提供なしにはそれ以上の長期払いの交渉は相当難しいと思われます。  

事業再生ステージの資金繰り管理

事業再生ステージでは軌道に乗るまで常に資金繰りは綱渡り。
通常時にはない、事業再生ステージならばではのポイントがあります。

ポイント@ シナリオを時間軸と数字で作るんだ!

 どの債権者との交渉もハードです。こんなに精神的に厳しい交渉もありません。そんな厳しい状況を乗り切る絶対的な基本は

 金融機関からの借入金、滞納税金、遅延してる買掛金、これらを払う前で黒字を出すことです。この黒字さえあれば「どうにでも交渉ができる!」

 「黒字を出せ」・・平時であれば、わざわざ耳を貸す経営者はいない話です。
でも厳しい局面の経営者は「New Money」「ジャンプしてもらう」で頭の中の90%が占められるようになってしまいます。

 でも本業の立て直しに陣頭に立って取り組む人が社長ではなくなった時、従業員の心が完全に折れます。厳しい局面でもそれでも何とか頑張ろうと思っていた従業員の心の芽を完全に潰します。その状態で会社を立て直すことは到底無理・・

大丈夫でしょうか?今の社長は、今の従業員は、そうはなっていないでしょうか?
苦しい時、「金、金」になるのはよくわかります。眠れないくらい苦しいこと、本当によくわかります。でも事業再生は、業績の回復をそれでも前面に進めていくしかないのです。

 さて、もう少し具体的なことをお話しいたします。「回復のシナリオ」ですが、その絶対的な主人公は「売上」です。

中小企業の事業再生を果たされた経営者が異口同音に次のようなことをおっしゃいます。
「資金繰りで余裕のないときは、経費節減を進めるのが楽だった。社内だけで完結する話だから。それでプラスになるのは数万とかせいぜい数十万円なのに。それじゃ全然足りないっていう現実から逃げていた」

 売上をまた作るのは創業時以上のパワーが必要でしょう。いわばここは「第2創業期」ということなのかもしれません。
経費節減は社内を引き締める意味はあるでしょう。でも、さらっとでいいから資金繰り表を作ってみて欲しいのですが、決定的にそれで資金繰りが改善するほどの効果が生まれてくるのでしょうか?「経費節約を進めたおかげで会社が再生できた」という中小企業を私たちも見たことがありません。

 売上が下がったままで、本業が赤字のままで、救われるパターンは中小企業ではたった1つしかありません。あなたの会社が業界で見るべきシェアがあって、特殊なものがあり、そこに着目した会社にM&Aで救済されるパターンだけです。しかし、そんな会社は中小企業では相当稀です。
 焦点を「黒字を挙げる」という基本に戻すしか、世の中の99%の中小企業は救われないのです!

 そして黒字化をやり遂げるの覚悟をされたなら、この先、交渉する自分自身を支えるという点でも、相手に待ってくれと言うためにも、どうすればP/L(損益)、資金繰りが回復するのかのシナリオをしっかりと構築し、資金繰り表に落とし込むことがとても重要です。

ポイントA 損益計画&月繰り表&日繰り表の3点セットを常時更新せよ!

 会社が傾いていなくても、資金繰り表他の3点セットの常時更新はすべきことですが、事業再生ステージでは、やらないと確実に会社が死にます
 いつどれだけ払えるのか、誰にいくら待ってもらってそれをいつ解消するのか、そんなことをこのステージでは最も心を砕かなくてはなりませんが、その判断の拠り所は最低6ケ月程度の資金繰り表、90日ベース(30日分では到底足りません)の日繰り表です。

 この3点セット更新が今後の会社の「羅針盤」になります。
 「羅針盤」を装備していない会社は、債権者に対し、その場を凌ぎたいばかりにできない約束をするようになります。お金の動きを見通さないまま、とりあえずの約束をされるので、多くは「来月払う」が「また次の月」に、「分割」に、そんなことを繰り返すようになります。こうやって会社は信用を完全に失っていきます。

 破産しても社長はビジネスマンとしての信用を自ら「できない約束をする」ことでだいぶ傷つけていますから、その地域での再就職をもの凄く難しくします。だから、これは絶対にやってはいけません!

 繰延をお願いする最初から「いつまでの分割」と資金繰り表を見ながらお願いすることの方が、最低限の信用保持という点は”遥かにまし”です。
 P/Lの復活が第一義の事業再生ですが、どう払っていくかの資金繰り戦略がある会社は再生を果たすし、戦略がない会社は道半ばで潰れる。そのくらい、支払戦略=「羅針盤」の有無は事業再生の成功を左右する要素です。

ポイントB 遅延している債務の管理

 期日に払えず、繰り延べ払いする債務は、その総額がいくら発生して、いくら解消しているのか、常時把握することが重要です。事業再生を目指す会社は必ず行ってください。

 そのための基本は、通常時でも基本である買掛帳による個社別管理。そして資金繰り表上でも把握できるよう調整しなくてはなりません。具体例が下表です。

 ベージュ色を付した所がポイントです
再生できているかどうかは「遅延分残高」の減少がポイントです。
資金繰りが苦しくとも、この「遅延分残高」さえ減少していっていれば、どうにか乗り切れる可能性が高くなります。債権者との交渉もこの残高推移を把握しておくのは大きな武器になります。

 逆に「破産せざるを得ない会社」はこの「遅延分残高」が増加を辿っている会社です。「待って待って」を繰り返すけど、遅延債務が増える一方の会社は取引先を連鎖倒産に巻き込みます。

 会社の行く末を税理士・弁護士に相談することがあると思いますが、この遅延分残高の推移は必ず説明できるように準備してください。ただ赤残が続く資金繰り表を持参しても、「破産しかないね」の結論しかでない可能性が高いです。

 中小企業の事業再生現場では本当によくあります。
 事後に見ると「この会社は復調途上にあったじゃないか」という会社なのに「ただ赤残が続く資金繰り表」だけを資料としてもっていき、復調途上にあることを説明できないばかりに、「社長、もうあきらめなさいよ」と宣告されるケースが。
再生を強調する材料は自分で資料にまとめ、自分でプレゼンテーションするしかないのです。

事業再生の生命線 日繰り表管理のポイント】

事業再生ステージでは軌道に乗るまで常に資金繰りは綱渡り。
日繰り表作成は必須ですが、その運営にも事業再生ステージならばではのポイントがあります。

ポイント@ 常に3ケ月先まで作ること。それを短いスパン(間隔)で更新すること

 日繰り表を作成していても、その月のものだけ、つまり1ケ月分だけを作成している会社をよく見かけます。しかしそれでは全く不十分です。事業再生に取り組んでいる時には常に先の3ケ月は資金ショートを起こさない見込みを立てることです。


 
買掛債権者との交渉はハードです。「払え払え」の催促は、夜眠れないくらいの強いストレスになることを私はよく知っています。ですがその督促の交渉を乗り越え、先々を見据え支払いをコントロールしていく以外には、この緊急場面は乗り切れないのです。ここを乗り切りましょう!

ポイントA 損益計画を常に更新。資金繰り予測表(月繰り表)と連動させる。

 日繰り表を「3ケ月先まで作る」ためには、月別の資金繰り予測表を基に(根拠に)作るすることがポイントです。そうしなければ来月・再来月の支払予測が「だいたいこんなもの」とか「いつもこれくらい」などの根拠のない数字になってしまうからです。
 絶対に乗り切るんだ!と決意されている今、支払予測も頑張って根拠のある数字を作りましょう!この厳しい今を乗り切る体制を経理・財務からも強力に推し進めましょう!

ポイントB 項目別に分けること

 項目別に分けるとは、具体的には下図のような表です。事業再生局面では前述の通り、遅延原価(場合によっては遅延した租税公課も追加)の管理が重要ですので、項目として表示することにこだわって頂きたいのです。


一方で下記のような日繰り表は、厳しい今を乗り切る武器には、絶対になりません!
どういう項目にいくら払うのか、全く分かりません。事業の原価、買掛金の支払いはつまりこの月はいくらするのでしょうか?また、事業再生の生命線の1つ「滞留している支払」の把握をこれでどうやって把握するというのでしょうか?


 どの先に支払うか知りたい、という要望があるなら、それは別紙で対応すればいいと思います。
個別の支払よりも全体情報を把握すること。これは社長が作戦を立てる上でも大いに役立ちますし、例えば会計事務所やコンサルタントに支援を頼む時でも、項目別になっている・滞留債権の管理がされていると彼らも助言をしやすいのです。
 苦しい時ですが、会社のみならず、会社を支える周りの方々と一体になって、何としてもここは乗り切りましょう!

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厳しい今の資金繰り管理を一切合切お引き受けいたします。

   

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